第2回目は石膏デッサンでおなじみの「ブルータス」です。
ブルータスの像は、1539年頃にミケランジェロによって制作されました。
60歳の頃の晩年の作品です。
ミケランジェロはあまりに多忙でしたので、
実際に作ったのは頭部のみで、衣服のほとんどは弟子が製作したそうです。
ミケランジェロに制作の依頼をしたのは“反”メディチ家。
当時のフィレンツェの実権を握っていたメディチ家の君主の暗殺事件があったタイミングでした。
古代ローマ時代に、同じく独裁政権のトップであったカエサルが暗殺され、
それを成し遂げた一人であるブルータス。反メディチ家の人々は、
時代を超えてブルータスを称えたかったのでしょうか。

wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ミケランジェロ・ブオナローティ
ミケランジェロ・ブオナローティの生涯と代表作・作品解説 https://bijutsufan.com/highrenaissance/michelangelo/
Orti Oricellariの反メディチの陰謀 https://blog.goo.ne.jp/fontana24/e/e6a6838fb4800b8b8e2a3f7e6c012417
そしてミケランジェロ自身も、もともとメディチ家に反感を持っていたため、
この制作にとりかかりました。
しかし、ミケランジェロが制作したブルータス像と
実際のブルータスでは大きく違いがあるようです。
史実によれば、カエサル暗殺に加わったブルータスは「力強い男」というよりは、
「家柄の良い有能な政治家」といったイメージなのですが、
ミケランジェロは前者のイメージで表現しています。
ミケランジェロ自身の中でブルータスを再構成して表現した、
とも言えますし、
依頼された反メディチ家の意向を反映した作品でもあると言えます。
では、実際ブルータスはどんな人であったのか見ていきましょう。
中島健祐 桃井心